はじめに
レストランで、大きなガラスの器にワインを移し替えている光景を見たことはありませんか?
それが「デキャンタージュ」です。
でも「家庭でも必要なの?」「やる意味あるの?」と疑問に思う方も多いはず。
実はデキャンタージュは、同じワインをまるで別物のように変えてしまう魔法の一手なんです。

デキャンタージュとは?
デキャンタージュとは、ワインをボトルから別の容器(デキャンタ)に移し替えること。
その目的は主に2つです。
- 澱(おり)を取り除く
- 空気に触れさせ、香りを開かせる
💡 トリビア
デキャンタージュは古代ローマ時代から行われていたと言われています。
長い歴史の中で「ワインを最高の状態で楽しむための技術」として磨かれてきました。
ちなみに、わたしは歴史オタクなのですが(笑)、古代ではワインは水で薄められて飲まれていたそうです♪
なぜデキャンタージュをするのか?
- 若い赤ワイン → 渋みを和らげ、閉じた香りを開かせる
- 熟成した赤ワイン → 澱を分離し、澄んだ液体だけを注げる
- 白ワインやオレンジワインでも、閉じた香りを開く目的で使うこともあります
💡 体験談(プロの現場から)
若いボルドーをデキャンタージュしたとき、最初は硬く閉じた香りが30分後には花開き、果実とスパイスが一気に広がりました。
同席していた新入社員は「同じワインですか!?」と驚いていました。
プロ視点から見たデキャンタージュの価値
ワインは、全く同じボトルでも開けたタイミング、一緒に食べる料理、温度、湿度、気分など、さまざまな要因で感じ方が変化します。
正直に言えば、「そのワインのポテンシャル100%」を体験できる瞬間は稀です。
デキャンタージュは、そのワインが持つ魅力を最大限に引き出すための“対話の道具”です。
「香りが開いてきたな」「まだ渋みが強いな」とワインに耳を傾けながら、なるべく最高の状態で楽しむためのアプローチ。
普段のデイリーワインではそこまで必要ありません。
ですが、特別なワインや大切なシーンでは、ワインの良さを数倍に引き出す切り札になります。
デキャンタージュの方法
- 澱を避ける場合(熟成ワイン)
- ボトルを数時間立てて澱を沈める
- ライトやキャンドルでボトルの首元を照らしながら、澱を避けて注ぐ
- 香りを開かせる場合(若いワイン)
- 少し勢いよく注ぎ、空気に触れさせる
- 広口のデキャンタを使うと効果的
💡 プロの豆知識
ソムリエが行うデキャンタージュは、ワインを美味しくする目的だけでなく「演出」としての意味も大きいです。
華麗な所作もまた、ワインの楽しみの一部です。
デキャンタに適したワイン
- 渋みの強い若い赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなど)
- 熟成した赤ワイン(澱が沈殿しているボルドーやブルゴーニュ)
- 香りが閉じている白ワイン
デキャンタのおすすめ
- シンプル型:初心者でも使いやすい
└定番のリーデル社製:RIEDEL リーデル デカンタ カベルネ
└定番のリーデル社製その2:RIEDEL リーデル デカンタ アップル 1500ml
└とりあえずそれっぽく試してみたい▶Bormioli Rocco(ボルミオリ・ロッコ) ミズラ カラフェ 500㏄
ワイン専用ではないですが、安価で間に合わせたいなら試してみるもアリ
- 広口型:若いワインを一気に開かせたいときに最適
└お手軽▶Lazysong ワインデカンタ タクリスタルガラス
- アーティスティックなハンドメイド型:特別感の演出におすすめ
└少し値は張りますが、ワインラバーの憧れ▶リーデル デカンタ ブラック・タイ アマデオ 1500ml
└少し値は張りますが、ワインラバーの憧れその2▶リーデル デカンタ イヴ 1370ml
まとめ
- デキャンタージュは「澱を取り除く」「香りを開かせる」2つの役割がある
- 同じワインでも状態やシーンによって全く違う表情を見せる
- 普段使いでは必須ではないが、特別なワインや大切な場面で大きな力を発揮する
ワインと向き合い、対話しながら最高の瞬間を引き出す──
それがデキャンタージュの真の魅力です。
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