はじめに
「酸化防止剤(SO₂)って体に悪いんですか?」
「ナチュラルワインはSO₂が入っていないから安心?」
ワインを飲み始めると、こういう疑問を持つ方は多いです。
結論から言うと――SO₂は悪者ではなく、ワインを守るための大事な存在なんです。
SO₂の役割:ざっくり言うと「透明な傘」
SO₂(亜硫酸塩)は、ワインを守る役割をしています。
- 酸化防止
りんごを切って置いておくと茶色くなりますよね?ワインも同じで、空気に触れると風味が落ちます。SO₂はそれを防ぐ「傘」のような役割です。 - 酢っぽくなるのを防ぐ
放っておくと「お酢のようなツンとした匂い(揮発酸と呼ばれます。)」が出ることがあります。SO₂はこれを抑えてくれます。 - 雑菌から守る
ワインは生き物なので、余計な菌が増えると濁ったり変な匂いが出たりします。SO₂はワインを「清潔」に保ってくれます。
👉 難しく考えなくても、「SO₂=ワインのシートベルト」と思ってください。

ナチュラルワインとSO₂の誤解
最近人気のナチュラルワインは、「SO₂を使わない」または「少なくする」スタイルが多いです。
その結果、
- 少し酸っぱい匂い
- 見た目の濁り
- 熟しすぎたような風味
が出ることもあります。
これを「ナチュラルらしい」と感じる人もいますが、実はプロから見れば「制御不足のリスク」のことも。
👉 ポイントは「ゼロかどうか」ではなく、「きちんと管理されているかどうか」なんです。
濁っているワインは良い?悪い?
フィルターをかけないで瓶詰めするワインは、見た目が濁ることがあります。
- 上手に造られたもの → 味に厚みが出て個性的
- 管理不足のもの → 雑菌や再発酵でネガティブな味に
👉 つまり「濁り=ナチュラルで美味しい」とは限らないんです。
それでも美味しいナチュラルワインもある
SO₂の使い方に関係なく、きちんと制御されたナチュラルワインは本当においしいです。
- 繊細で
- 滋味深く
- 他では味わえない個性がある
ただし、そういうワインを造れるのはごく一部の一流生産者。
👉 「SO₂ゼロだから良い」ではなく、「丁寧に造られているか」がポイントです。
輸送とSO₂の大切な関係
実は日本で飲むワインは、ほとんどが船で輸送されています。
- 何週間もかかり
- 揺れや温度変化があり
- 蔵元で飲むのとは別物になりがち
だからこそ、ボトリング時に少量のSO₂を加えることで輸送中のダメージを抑える生産者もいます。
👉 「海外で飲んだ味と違う!」というのは、この輸送の影響が大きいんです。

ナチュラルワインはなぜ高い?
ナチュラルワインは魅力的ですが、値段は少し高めになりがちです。
- 小規模生産が多い(大量生産できない)
- 設備投資の負担が大きい
- 輸送も小さなロットなのでコスト高
そのため、同じ値段で比べたときに「クラシックなワインの方が安定している」というケースは多いです。
👉 ナチュラルワインは「コスパ」よりも「個性」に価値を払うもの、と考えると良いでしょう。
歴史的背景(ちょっと豆知識)
- 古代ローマ:樽を硫黄で燻して殺菌していた
- 18世紀:SO₂の役割が科学的に解明
- 20世紀後半:健康志向で「SO₂=悪者」というイメージが広まる
👉 実際には、SO₂はずっと「ワインを守る味方」として使われてきたんです。
まとめ
- SO₂は「悪者」ではなく「ワインの守り神」
- ナチュラルワインは魅力的だが、リスクや価格の高さもある
- 大事なのは「SO₂ゼロかどうか」ではなく「きちんと制御されているか」
👉 ワインをより安心して楽しむために、SO₂を正しく理解しておきましょう!
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