家飲みで一番変化を感じたのは、ワインではなくグラスでした

3,000円のワインを5,000円に上げるより、まずグラスを変えた方が変化を感じやすい。

これは、ワイン業界で働くようになった今でも変わらない実感です。

ワインを飲み始めた頃の私は、
「まずは良いワインを買わなきゃ」と思っていました。

少し高いボトルを選んだり、品種を覚えたり。
もちろんそれも楽しい時間です。

でも振り返ると、家飲みで一番変化を感じたのはワインそのものではありませんでした。

ワイングラスでした。
同じワインなのに香りが広がる。
少しゆっくり飲みたくなる。
食卓の空気まで変わる。

今日はそんな話です。

目次

ワインを変えても、家飲みはあまり変わらなかった

ワインを飲み始めた頃は、高いワインほど美味しいと思っていました。

もちろん違いはあります。
でも不思議なことに、
3,000円のワインが5,000円になっても、家飲みの満足度はそこまで大きく変わりませんでした。

むしろ、「なんとなく飲んで終わる日」も多かった気がします。

グラスを変えた日、少し驚いた

最初に驚いたのは、同じワインを違うグラスで飲んだ時でした。

香りがふわっと広がる。
口当たりが少し柔らかく感じる。

もちろん劇的ではありません。

でも、
「同じワインって、こんな香りだったんだ」
という発見がありました。

ワインを変えた時より、グラスを変えた時の方が印象に残っています

「なんだか美味しい」には理由がある

もちろん、気のせいではありません。

実際、ワイングラスは香りの広がり方や口への入り方を考えて設計されています。

ボウルが大きいグラスは香りをため込みやすく、小ぶりなグラスは香りを集めやすい。
それだけでもワインの印象はかなり変わります。

さらに面白いのは、ワインが口の中に入る角度です。

梅干しを想像してみてください。
口に入れた瞬間、思わず頬のあたりがきゅっとする感覚がありますよね。
酸味は舌全体で感じていますが、特に口の横側や頬まわりの印象として記憶に残りやすい味です。

実はグラスも、その印象に少し影響します。
口径が広いグラスはワインが口の中に広がりやすく、酸味や果実味を豊かに感じやすいことがあります。
反対に口径が狭いグラスはワインがまとまって入りやすく、香りや酸の輪郭が引き締まって感じられることがあります。

また、飲み口の薄さも意外と大切です。
薄いグラスは口当たりが繊細になり、ワインそのものの印象を邪魔しにくくなります。

メーカーズディナーでも、グラスを変えてテイスティングすることは珍しくありません。
生産者からリクエストもあれば、シェフやソムリエも高確率で「どれでいく?」と聞いてきます。

同じワインでも見え方が変わるからです。

もちろん家庭ではそこまで神経質になる必要はありません。

でも、「なんだか美味しい」と感じる理由を知ると、ワインは少し面白くなります

変わったのは味だけではなかった

今思うと、変わったのは味だけではありませんでした。

グラスが少し良くなると、不思議と食卓の空気も変わります。

平日の夜。スーパーのお惣菜。簡単なパスタ。
そんな日でも、少しだけ丁寧にワインを注ぎたくなる。

少しだけ座る時間が長くなる。

実際、ワイン業界で長く働いていても、
「一番コストパフォーマンス良く家飲みを変える方法は?」
と聞かれたら、私はグラスと答えるかもしれません。

ワインそのものを高くするより、変化を感じやすいからです。

高級グラスじゃなくてもいい

ここで誤解してほしくないのは、高価なグラスが必要という話ではないことです。

実際、私自身も最初から高級グラスを使っていたわけではありません。

大切なのは値段より形です。
そして、毎日使いたくなることの方が大切です。

では、私が家飲み用のグラスを選ぶとき、どこを見ているのか。

基準はたった2つです。

ひとつは、
「おうちのスポンジで、奥までしっかり洗えること」
もうひとつは、
「赤白どちらにも使える万能な形であること」

繊細すぎて洗うたびに緊張するグラスは、平日の晩酌には向きません。
※もちろん、このようなグラスを使いこなすと、もう一段階ワインが化けます。これはまた別の記事で。

気軽に使えて、気軽に洗える。
そのくらいの方が、結果的によく使います。

最初の1脚なら、こんなグラスがおすすめ

この2つの基準をクリアした、最初の1脚におすすめのグラスをご紹介します。

リーデルやツヴィーゼルなど定番ブランドには、初めてでも扱いやすいモデルがあります。

最初から何脚も揃える必要はありません。
まずは1脚。

それだけでも違いを感じられると思います。


■リーデル 
 ド定番。厳密には白用ですが、カジュアルに飲むなら赤も問題ありません

■ステムレスグラス
 え、コップ?って思いますよね。また、せっかく買うなら脚(ステム)つきのがいい。というのもわかります。
 でも、もし次の便利な一脚をお探しなら、個人的に本気でおすすめなのが”ステムレスタイプ”です。
 扱いやすさ・気軽さ洗いやすさ
 平日の食卓を、コスパよくあげるのにこれ以上ないメリットがあります。
 ちなみに、私の平日の食卓は、80%以上”ステムレスタイプ”です。
 一度使うと、間違いなくヘビーユーザーになると思います。

 普通(ステムあり)のリーデルグラスのワイン適正はもちろんそのままです。
 中央が少しくぼんでいるので、脚(ステム)なしでも持ちやすくなっています。

食卓を変えるのは、意外と小さな道具かもしれない

ワインをもっと楽しみたい。

そう思った時、多くの人はワインを探します。
でも実は、先にグラスを変えた方が変化を感じやすいかもしれません。

知識を覚える前に、お気に入りのグラスを1脚見つける。

それだけで、平日の晩酌が少し楽しみになることがあります。

ワインが主役の日もあります。

でも、食卓を変えてくれるのは、意外と小さな道具だったりします。

まずは今夜、いつものワインを少しだけ大きなグラスに注いでみてください。

きっと昨日とは少し違って見えるはずです。

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この記事を書いた人

ワイン業界の視点から、
食卓・シャンパーニュ・上質な道具を通して、
「少し良い暮らし」を発信しています。

ワイン輸入バイヤーやブランド業務を通じて、世界各国のワイナリーやレストラン、ショップ、イベントに長年関わってきました。

その中で感じたのは、
ワインは“難しく学ぶもの”というより、
日常を少し豊かにしてくれる存在だということ。

グラスや保存方法、食卓の工夫ひとつで、
いつもの一杯は驚くほど美味しくなります。

このサイトでは、
プロとしての現場経験をベースにしながらも、
初心者の方にもわかりやすく、
「気軽に試したくなるワインの楽しみ方」をお届けしています。

また、食卓やワイン文化についてのエッセイ・コラムは、
note「Tableside Notes」でも更新しています
https://note.com/tableside_notes

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