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ワインを飲み始めると、グラスは増えていきます。
シャンパーニュ用。白ワイン用。
ブルゴーニュ用。ボルドー用。
私も例外ではありませんでした。
リーデルを買い、ザルトを買い、気づけば棚の中にはいくつものグラスがあります。
※下記はほんの一部で、箱にしまっているものも多数。本当にたくさんのグラスを試してきました。

もちろん専用グラスは楽しい。
条件がぴたりとハマった時の感動は確かにあります。
でも少し不思議なことがあります。
今、家で使っている割合の8割くらいは、万能型のグラスなのです。
いろいろ試したからこそ思います。
特別な夜ではなく、毎日の食卓を考えるなら。
本当に価値があるのは、どんなワインでもちゃんと美味しくしてくれるグラスなのかもしれません。
この記事を書いた人

Aoあお|Tableside Notes
ワイン輸入バイヤー・ブランドマネージャーとして、生産者やレストランと関わってきた経験をベースに、ワインのある食卓やライフスタイルを発信。
シャンパーニュから深夜のパスタまで、“背伸びしすぎない上質”をテーマにしています。
専用グラスはたしかに面白い
グラスでワインの印象は変わります。
これは決して気のせいではありません。
私自身もリーデルのピノ・ノワールグラスや、ザルトのブルゴーニュグラスを長年使っています。
実際、それぞれに魅力があります。
リーデルは比較的素直にワインの個性を引き出してくれる印象があります。ワインの特徴を理解したいときにも使いやすく、まさに定番と呼ばれる理由があります。
一方でザルトは少し違います。
条件が揃った時の伸び方が本当に素晴らしい。
香りの広がり方や空間の作り方は独特で、「なるほど、これがザルトか」と感じる瞬間があります。
ただ、その分だけワイン側にも一定のポテンシャルを求めているように感じることがあります。
これは完全に私個人の印象ですが、例えばブルゴーニュグラスなら、村名クラス以上やプルミエ・クリュくらいの品質があった方がグラスの魅力が活きやすい気がします。
もちろん例外はあります。
ただ、グラスとワインの相性を考える楽しさがある一方で、少し緊張感もある。
専用グラスにはそんな面白さがあります。
でも、最高点を狙う日は意外と少ない
ただ、ここ数年でひとつ気づいたことがあります。
私たちは毎日グラン・クリュを飲むわけではありません。
平日の夜。スーパーのお惣菜。簡単なパスタ。少し疲れた金曜日。
そんな日がほとんどです。
そしてワインも毎回ブルゴーニュではありません。
シャンパーニュの日もあれば、ドイツのリースリングの日もある。
ロゼの日もあるし、日本ワインの日もあります。
そう考えると、専用グラスが活躍する場面は意外と限られてきます。
もちろん、最高の組み合わせが決まった時の満足感は大きい。
でも現実の食卓は、そこまで整っていないことの方が多いのです。

万能グラスは85点を外さない
これは完全に私個人の感覚ですが、
グラスには「最高点」と「平均点」がある気がしています。
例えばブルゴーニュ専用グラス。
条件が揃えば90点、あるいは95点を狙えるかもしれません。
でもワインとの相性次第では、その力を発揮しきれないこともあります。
実際、ザルトのブルゴーニュグラスを使っていて、
「今日は少しグラスの方が立派すぎるな」と感じることがあります。
ワインが悪いわけではありません。
ただ、グラスが求めるものとワインが持っているものが噛み合わないのです。
一方で万能グラスは違います。
どんなワインでも85点以上を出してくる。
派手ではない。でも外さない。
シャンパーニュも。白ワインも。
ピノ・ノワールも。たまに飲む日本ワインも。
全部それなりに気持ちよく飲ませてくれる。
だから結局、一番手が伸びる。
私自身、今はジャンシス・ロビンソンの万能グラスを最もよく使っています。
体感では家飲みの8割くらいです。
いろいろ試した結果、また万能グラスに戻ってきました。
シドニオスが面白いのは、万能グラスを本気で追求したこと
最近次は絶対これを買おうと決めているグラスがあります。
フランスのシドニオスです。
元々私が尊敬する大先輩のオススメで、試させていただいたのが出会いです。
面白いのは、その思想でした。
シドニオスは品種ごとの細かなグラス展開を追いかけるというより、
まず万能グラスを徹底的に磨こうとしているように見えます。
シドニオスを代表するのが「ルニヴェルセル」という名のグラス。
名前の通り、ユニバーサル(万能型)グラスです。
シャンパーニュ。白ワイン。ロゼ。甘口ワイン。繊細な赤ワイン。
幅広いスタイルに対応することを前提に設計されています。
もちろんシドニオスにも、ボルドー向きのレステットや、ブルゴーニュ向きのル・スブティルがあります。
ただ、私が一番惹かれるのはルニヴェルセルです。
なぜなら、それが一番現実の食卓に近いから。
今日飲むワインが決まっていない。料理もまだ考えていない。
そんな日の方が圧倒的に多い。
だからこそ、万能グラスが面白い。
さらにシドニオスは、その万能グラスを妥協で作っていません。
ルニヴェルセルは約95gという驚くほど軽いハンドメイドグラスで、ブランド自身は「見えないグラス」と表現しています。
これは単に軽いという話ではありません。
ワインと飲み手の間にあるグラスの存在感をできるだけ小さくしたい。
そんな思想の表れです。
この考え方にはかなり共感します。
もしルニヴェルセルが気になった方は、正規代理店であるフィラディスの公式ページも参考になります。
グラスを増やさないという贅沢
昔は、グラスは増えていくものだと思っていました。
でも最近は逆です。
本当に気に入ったグラスを見つけると、不思議と数を減らしたくなります。
たくさん持つことより、よく使うこと。
その方が暮らしは心地いい。
これはワインだけではなく、器や家具にも少し似ています。
ボルドー用。ブルゴーニュ用。シャンパーニュ用。
もちろんそれも楽しい。ここぞという時にはもちろん愛用しています。
でも毎日の暮らしを豊かにする、という観点で最終的に残るのは、
「今日は何を飲もうかな」
と思った時に、迷わず手が伸びる万能グラスだったりします。
私たちの食卓には、万能グラスという考え方が合っている
ワインの世界には、完璧な組み合わせがあります。
最高のワイン。最高の料理。最高のグラス。
その時間は確かに素晴らしい。
でも、毎日の食卓はもう少し自由です。
生姜焼きや餃子の日もある。
深夜のパスタの日もある。
お惣菜を買って帰る日だってある。
また、休日の昼にシャンパーニュを開ける日もある。
そんな食卓の方が、私にはずっと身近です。
だから最近は、
「どんなワインでも気持ちよく飲めるグラスは何か」を考えるようになりました。
専用グラスの楽しさを知った上で、また万能グラスに戻ってくる。
それは妥協ではありません。むしろ、毎日の食卓を大切にするための選択です。
まずは、長く付き合える「最高の1脚」を
もし今グラス選びに迷っているなら。たくさん揃える前に、まずは良い万能グラスを1脚。
意外かもしれませんが、その1脚が一番長く付き合うグラスになるかもしれません。
私自身、長年いろいろなグラスを試してきましたが、結局一番使っているのは万能型のグラスです。
だからこそ今、シドニオスのルニヴェルセルという考え方に強く興味を持っています。
「最高の1本のためのグラス」ではなく、「どんなワインとも付き合える1脚」。
その発想は、私たちTableside Notesが大切にしている食卓の考え方にも近い気がします。
▼シドニオス ルニヴェルセルを見る
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